8期の大邑涼氏は小田桐誠という名前でドキュメンタリーを数多く出版しています。
2000年11月23日の読奨OB会ミレニアム総会で紹介されていた1冊をご紹介します。
ドキュメント 崩壊からの出発
阪神大震災5年・「生活再建」への挑戦
渡辺実・小田桐誠=共著
発行所 社会思想社
この本は阪神淡路大震災その後の再生の道を描いたドキュメントである。
震災そのものの惨状は生々しい映像を何度も見ているが、この本では震災後人々が
どう動いたか、行政がどう対処したかを記録している。
被災した人の救助、避難所への避難、食べるもの、暖を取るもの、体を休めるところ、
プライバシー、仮設住宅、自宅の再建、とその時々によって緊急度合が異なってくる。
隣人は何する人ぞと近隣との付き合いの無い人達がともに生きるためコミュニケーションを図っていく。
個人の集まりから自治組織が生まれ、共同生活をはじめる。
弱者救済、就労、子供の就学、住まいの確保・・・・
そこには必要なものをタイムリーに適切に公平に提供する難しさがある。
一時しのぎにはなっても時間が立つとアツレキが生じてくる。
仮設住宅もただあればいいものではない。
生活の便、交通の便、騒音、コミュニケーションの欠如等課題は多い。
ボランティア・行政も奮闘しているのが伝わってくる。
被災者もともに必死だ。
仮設住宅に弱者優先で入居させるだけでも問題が出てくる。
弱者の集まりになると活力が無くなってしまう。
周りに元気な人がいて励まし元気づける、医食の面で助け合うことが大切。
孤独死を防止しようと立ちあがる人々、生きる活力を取り戻そうと立ちあがる人々。
ここに再生の礎がある。
巻末に台湾の李登輝総統(当時)の感謝のコメントが寄せられている。
「台湾の大震災のとき日本から多くの支援をいただいた。
迅速かつ多岐にわたって。これらには阪神大震災から学んだ教訓が多く役だった。
日本国民に感謝申し上げる。
また、この本は公式記録とともに多くの方に読まれ、次ぎの災害絵の教訓として
日本でも台湾でも必ず役に立つとことを確信しています。」 (要約)
震災後3年、はばたき総会の時見た神戸は再生がなったかに見えた。
エネルギー・活気を感じた。
忘れちゃいけないと海辺にメモリアムもできていた。
しかし、表に見えないところで孤独と戦っている人がいる。
不安と戦っている人がいる。
仮設住宅が撤去されても、まだ震災後は終わっていない。
東遊園地に46都道府県から集まった「灯り」がガラスケースの中の円筒に収められている。
台座にはつぎの言葉が刻まれている。
1995年1月17日午前5時46分
震災が奪ったもの
命 仕事 団欒 街並み 思い出
・・・・・たった1秒先が予知できない人間の限界・・・・・・
震災が残してくれたもの
やさしさ 思いやり 絆 仲間
この灯は奪われたすべての生き残った私達の思いをむすびつなぐ
渡辺実
まちづくり計画研究所所長。技術士。「神戸市生活再建本部活動記録」監修。・・・
小田桐誠
社会・教育問題、流通、メディアなど現代社会の多用なテーマの調査報道で知られる
フリージャーナリスト。著書に、「ドキュメント 生協」(現代教養文庫)
「協同の心 あしたへの力―コープこうべの創造的復興」(コープこうべ)ほか多数。
蛇足ながら、当[読奨OB.com]の便利帳に「災害に備える」という項を設けています。
伝言ダイヤル・災害に関するニュース・ボランティアネットなど。
平時の備えに一度ご覧ください。
By masa