石田さんのマレーシア便り

町に魚屋と肉屋がない

 現在あちらの方は隠居の身ですが小生若い頃より下戸で その分御婦人と食べ物には人一倍

興味があり熱心でした。 学生時代に都心のレストランや日本料理店でバイトをしていましたから

調理にも多少の知識と興味があり 日本にいた頃は良く家で料理もしました。 又仕事で頻繁に

出張していましたから その土地の名物を食べ歩くのも楽しみの一つでした。 この国マレーシア

でも食べ物に関する興味は強いのですが 残念ながら日本と比較して雲泥の差がある事を痛感

しています。 

 

 まず町を歩いても魚屋、肉屋、八百屋等の店がありません。 ミニマーケットと呼ばれるよろず屋

の店先にナス、きゅうり,玉ねぎ等簡単なものが置いてありますが 日本の様な本格的な専門店の

お店は全くありません。 勿論今では日本と比較しても負けない位の立派なスーパーがあちらこち

らに有り 品数豊富な肉や魚が簡単に手に入ります。 しかし1990年代年始めは日本のコンビニ

程度のスーパーしかありませんでしたから スーパーが無い土地や交通手段の少ない人々はどう

やってこれらの食材を手に入れていたのでしょうか。 基本的にこの国の人は家で料理するより外

で三食食べた方が安上がりと言う事と 家事をするより働いて少しでも収入を増やしたいという事で

家庭で料理するのは少し裕福な層に限られていました。 しかし今では家も車もある家庭が増え 

家で料理をする事が一般的に成りつつあります。

 

 この国に最初来て先ずビックリしたのは 夕刻になるとあちらこちらに市が立つ事です。 多くは

土曜の夜か日曜日の朝か夜ですが 郊外の住宅地や地方では毎日開かれます。 場所は大抵

商店街やその近くの駐車場が使われますが 田舎では原っぱや専用施設などが利用されます。

 私の住むシャーアラムではスタジアムの広大な駐車場が日曜日の朝市で 周辺で交通渋滞が

起きお巡りさんが出て誘導するほど賑わいます。 通常市では衣類から本のたぐいまで何でも有り

ますが主流は食品で八百屋、肉屋、魚屋、果物屋に乾物屋と50メートルも歩けば何でも揃います。

 日本で言う運動会のバザーの様な店も多く家族連れがジュースを片手にマレー系の和菓子や 

中華饅頭などを頬張りながら散策しているのが見られます。

 

 魚は近海で取れる暖流の魚が多く5キロはありそうな高級魚のタイや 何故か北のサケなどが無

造作に並んでいます。 アジやいわしの様な大衆魚やエビも朝取れたものが夕方、夕方取れたも

のは早朝には並べられるのか 手にとっても生臭さがなくかなり新鮮です。 変わったところでは

50センチ以上もあるエイ、淡水魚ではコイやなまずに似た魚、それに少し値の張る大型のマスの

様な魚が売られています。 以前朝市で買った新鮮なかつおやアジなどをさしみで食べようと試み

ましたが 油が全く乗っていないのか美味しくありませんでした。 日本人のシェフのいる中級の日本

料理店でアジのたたきにローカル産幾ら、日本産幾らと二つ表示してありましたが納得しました。 

貝類はあさりと岩に張り付いた小さい貝 それと何故か赤貝の三種類だけ 赤貝と言っても百円玉

程度の大きさしかありませんが。 ここでの赤貝はそれ以上に育たないのか 日本の商社か他の

誰かが大きいものだけ買い占めて 残りだけが出回っているのか良く判りません。 海藻はペナン

特産?の海苔がありますが ボール紙の様に厚く巻き寿司にはちょっと無理な感じです。 誰か

ここの赤貝を買って日本で養殖したり 材料海苔を輸入して加工してみては如何でしょうか。 

 

 稲が育たない程暑い国ですが マレー半島中央部の高原地帯では野菜が出来るのでしょう。

結構色んな種類が運ばれて来ます。 キャベツ、ニンジン、きゅうり、トマトやほうれん草に混じって

何故か晩秋野菜の小さな大根、白菜なども有ります。 私が此処の野菜でこれは旨いと思ったのは

トマトです。 真っ赤なのに硬く正にトマトの味がして 子どもの頃食べた庭先のトマトの味を思い出

しました。 多くの野菜は気候のせいかやたらバカでかいのですが クキや芯も日本の野菜の様に

硬くなく ニンニク、玉ねぎ、ニラなども大味なのか一度に沢山食べても平気です。 もっとも私の舌

が15年も居て大雑把になったのか その辺は定かではありませんが ...。

 

 鶏肉は生きた鶏をその場で捌き丸裸で並べて置き一羽単位で売り お客が注文してから骨付き

のままぶつ切りにして売っています。 牛肉は国産牛の片足とかブロック肉に内臓などを屋台に吊

るしておき 少しづつカットしたものを並べて売っています。 イスラム教ではご禁制の豚肉も豚を丸

ごと仕入れて牛肉の様な方法で売っています。 以前豚の頭がそのまま屋台に並べてあり ビックリ

した記憶があります。 頭をどうして調理するのか 本人の顔を見て平気で食べる神経は私には持

ち合わせておりません。

 

 乾物屋のコーナーではサイズの違う 煮干、乾燥エビ、生豆、香料と思われる乾燥した根っこ、枝、

葉っぱなどが屋台に所狭しと並べてあります。 変わったところでは頭を外したした煮干が御頭付

よりも若干高い値段で売られており 其の傍で子供が出刃の様な刃物で頭を外していました。 

ワイフに理由を尋ねたところ 頭が無い方が食べたとき苦くないから取っているのだという返事でした。 

乾物屋の場合オーナーの人種によって扱う商品が若干違います。 インド人の店では数え切れない

ほどの色々なカレー粉や生のココナッツパウダー 中国人の店では中国人向け食材が多く並べて

あります。 ある時中国系の屋台店で シナ竹、ザアサイ、ゴマ、竹の子の水煮、きゅうりのキュウちゃん

などが並べてあって 久しぶりに日本で馴染みの食材を見て懐かしく思ったりしました。 日本には無

いのですが味噌かしょっぱい納豆を板状にして乾燥したものが有り 塩味とうまみを出す為野菜炒め

に使われる事が良く有ります。 余談ですが中国ではやたらしょっぱいザーサイを煮込んだスープが

有り 韓国ではキムチを使ったキムチ鍋など有りますから 暇な人は梅干やたくあんをベースにした

鶏肉スープでも作り 後で感想を寄せてみて下さい。 

 

 果物屋の屋台ではバナナの房の根元に輪にしたビニール紐を通し干し柿のように吊って有ります。 

日本ではバナナと言えば一種類だけですが 此処では10センチ位のモンキーバナナと呼ばれる

やたら甘いバナナ、料理用に使う真っ青なバナナ等4種類位有ります。 ローカル物ではスイカを

始めパパイヤ、マンゴー、マンゴスチン、その他訳の判らないものが所狭しと並んでいます。 輸入

果物はオレンジ、リンゴ、キーウィ、メロンなどが有りますが二級品、三級品で見た目も小さく余り甘く

はありません。 この国で果物を召し上がりたい方は ローカルもので少し値の張る物を選ばれるのが

良いかと思います。

 

石田 勝  マレーシア住在:ご意見がありましたらここに : masaru.ishida@konsortium.net   (改定済み)

 

  石田さんのマレーシア便り Buck No.

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