石田さんのマレーシア便り

マレーシアは何でもあり 

 

“石田さんここでは宗教と政治の話はしない方が良いですよ でもそれ以外は何でもありです

から自由にやって下さい。” 私が前任の先輩からM/Dのポストを引き継ぐ時こう言われました。

 引継ぎはゴルフ場、KL市内のホテル、レストラン、飲み屋の場所と雰囲気 それに何故かゲン

ティーンハイランドというカジノ 更になんと岡場所まで含まれていました。 確かに売り上げを伸

ばす為とは言え こんな所まで知っておかないと駄目なのかと少しビックリしました。 

晩飯は日本食、その後はカンバンまでお客さんの馴染みのカラオケと言うのが一般的接待

コースでしたが、飲んだ後は酔っ払い運転で信号無視やスピード違反、 更に休みの日は

ゴルフのお付き合いに買い物のお供と 信じられない様な赴任生活が始まりました。

 

最初一社ずつ新任の挨拶に回り 少し道を覚えたところで先輩の代わりにハンドルを握り始め

ました。 道路は朝夕のラッシュ時を除いてどこも空いており マラッカに出張する時など自分の

車のずっと前方に数台、バックミラーに小さい車が一台と言う感じで まるで道路を貸し切ってい

る様でした。

 そんなある日高速を出た先でネズミ捕りに遭いました。 速度制限標識など運転する時の目安

程度の認識しかなかった頃でしたから 高速を出てもスピードの事など気にも掛けませんでした。

 お巡りさんが停車位置を指図 ゆっくりと車を寄せようとした時“石田さん運が悪かったね 免許

証渡す時、下に50ドルを一緒に渡せば平気だよ”と言われてびっくりしました。 先輩に言われた

通り免許証とアンダーデーブルマネーを渡して待つ間 胸はドキドキと高鳴り、何かの間違いで

は無いか? 警察署に連れて行かれるのではないか? とまるで夢を見ている様な気がしました。

 お巡りさんは違反切符の綴りを取り出し何か書く振りをしましたが お金を確認するとごく普通に

それを受け取り直ぐに開放してくれました。 その時初めて先輩の言う何でも有りが納得出来ました。

 

十人足らずの会社をまかされて暫く経ったある日 税関から戻ったマネージャーが“石田さん

税関職員がサイドビジネスで水道の濾し器を売っているが これを会社で買ってくれと言ってますが

どうします?”と尋ねて来ました。 職務上の力を利用して何て事をするのだとマネージャーに言い

ましたが 結局許認可がスムースになるならいいだろうと言う事で買いました。 しかしなかなかラチ

のあかない就労ビザの申請の時は 逆に私の方から日系マーネージメント会社の担当者に 入国

管理官に少しお小遣いを渡したらどうか と言い出す始末で少しずつ悪の道に染まっていきました。

 しかしこの日系マーネージメント会社を統括している親会社の会長が マハティール首相と懇意だ

と言う事で役人が暗に何か期待している事が判かって居るにも拘らず ルール通り役人の要求に従

い訂正、追加書類を何度も繰り返して やっと取得する事が出来ました。 私の仕事に関係する役

所の他にもこの様な事は良くある事で 何故か昭和30年、40年代にタイムスリップしたようでした。

 

 

発展途上国では雇用対策の一環として 政府が大量の役人を雇いますが 財政上高い給料が

払えません。 これは戦後の日本も全く同じ状況だったと思います。 当時日本の安月給が役人

の悪い習慣を増長させていたと思いますが この国でもそれが一つの原因になっていると思い

ます。 しかしもう一方この国の国教であるイスラム教の教えが関係していると言う人もいます。 

イスラムの教えに 富める者は貧しい者に施しをして支えなければならないと有ります。 昔多くの

戦争未亡人が出た時モハメッドが 知り合いの未亡人を第二夫人にしたという古事から 一夫多妻

が現代でもイスラムの国々では当たり前です。 人を助ける為なら法律で4人まで奥さんを持っても

良い事になっておりますが ワイフの身内の一人を含め複数の妻を持つ人達の中には どうもこの

教えの美味しいところだけ盗っている人がいるような気がします。 それは相手が何故未婚の若い娘

ばかりなのか理解に苦しみます。 

お巡りさんがその日の交通取締りを終えた後 ママショップと呼ばれる粗末な路上屋台か エア

コンの無いレストランに集まり 雑談している光景を良く見かけます。 先輩の話ではどうもその日の

分け前を皆で配分しているようだと言いますが アンダーテーブルの堂々とした受け取り方を見ると

そうかなと思えるから不思議です。 基本的には己の欲が根底に有ると思いますが 子沢山の家族

を安月給で養う為にお父さんも必死なのでしょう。

 

イスラムの教えの中に 困った人がいたら助けなさいと言うのが有ります。 或る時道に迷いマレー

人に道を尋ねたところ 親切に教えて呉れました。 言われた通り先に車を進めましたが 行けども

行けども見覚えのある場所に辿り着けません。 仕方なくもう一度迷った処まで戻り ガソリンスタンド

で注油していたサラリーマン風の中国人に尋ねたところ 先程とは違う方向を教えて呉れました。 

親切にも“途中までは同じ道だから付いていらっしゃい”と言って呉れました。 途中で見覚えのあ

る通りに出て後は大丈夫と思ったので 車の警笛でお礼の合図をして追い越し先を急ぎました。 

芝刈りの途中の茶店で朝の話をし そのマレー人のいい加減に少し不満顔を見せたところ 仲間の

物知りから“石田さんイスラムは困った人を見たら助けなさいとあって 自分が良く判らなくても 兎に

角相手の不安な気持ちを取り除いてあげるのが先決らしいよ。 だからそのマレー人は朝から一つ

良い事をしたと思っている筈だよ”と言われました。 この解説はいい加減なマレー人の言い訳を真

に受けた説ではないかと疑っていますが 真相は今もって判りません。

 

この国に着いてビックリした事がもう一つ有りましたが それは多くの女性がスカーフを被って居る

事です。 これもイスラムから来る風俗習慣で 町を散策しても仕事場でも着ている色に合わせた

カラフルなスカーフを羽織っています。 もともとイスラムの教えでは女性が人前で髪や肌を露出す

る事を禁止しており 戒律の厳しい中東では今でも真っ黒なスカーフから目だけ出して人前に出て

います。 皆さんも中東を旅する番組やニュースをご覧になっている筈で知っていると思いますが

 この国では何故かファッションとして定着しているようです。 それでも日本の様にやれミニスカート

だホットパンツだと 肉体や曲線美を誇示するまではくだけてはおりません。 逆に肩から足元まで

スッポリ隠したバジュクロンという民族衣装や長ズボン、ジーンズばかりが目に付き目の保養にはなり

ません。 もともと嫉妬深い亭主が女房の顔や肢体を人に見せたくない為に強いるとの説もあり 

現に会社の従業員の中で恋人の出来た若い女性が ある日突然スカーフを被り出すと言った事が

良く有ります。 理由を聞いてみると近々結婚する様で 最近婚約したらしいなどと言うゴシップが流

れてきます。 時には歌手やテレビコマーシャルのタレントも粋なスカーフを纏ったまま出演したりし

ていますから イスラムの教えとは言えすっかりこの国の文化に成っている感じがします。 私の家内

は暑苦しいと言う理由で被らない様ですが 外見をいかに装っても中身がいい加減では意味が無

い などと屁理屈をこねています。 いずれにしても回りが皆被っているから被らないといけないが 

どうせ被るならお洒落に被りたいと言うのが一般的考えのようです。 

 

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  石田さんのマレーシア便り Buck No.

町に魚屋と肉屋がない

この国の国語はどうなっているの ?

一年350日は雨降り  

旅行社の宣伝文句トロピカルフルーツ

飛行機が嫌いな果物

会社のトイレに紙がない

マレーシアには4回正月が来ます