年に正月が四回??

  

  年に正月が四回あると聞いて読者の皆さんは驚かれると思いますが 私の住むマレーシアでは西暦の正月の他に マレー人、中国人、そしてインド人の正月がバラバラに有る為一年になんと四回もあります。でもそれだけで驚いてはいけません。この国では何年に一度かはこの四回が五回にもなります。

 

年に四回の正月では年中お祭り騒ぎで、まともに働く日が何日も無いのではと心配されるかもしれませんが そこは善くしたものでこの国の年間合計休日数と日本のそれとはそんなに変わりがないのです。そしてそれぞれの民族は自分の関係ある正月は日本の正月のようにシッカリ休んで祝いますが、他の民族の正月には国が定めた祝日だけ休んで後は仕事に専念します。他民族の正月は丁度数ある日本の祝祭日と同じ感覚で休むようです。日本のような単一民族では誰でも正月三が日は休みたいと思うでしょうし、警察.消防.マスコミ関係者等は誰が正月に出勤するか仲間同士でもめることでしょうが、ここでは誰かがしっかりカバーしてくれていますから何の心配も無く、かえってその方が便利かもしれません。

 

この国マレーシアは複合民族国家と言われでおり その人口比率はマレー系60%、中国系30%、そしてインド系10%になっております。 多民族国家でありながら宗教上の争いも無く極めて堅調な経済発展を遂げた事もあって、政治的.社会的に安定した国だといわれています。政府は西暦の正月に加えて陰暦で計算されたそれぞれの民族の正月を祝日と定め、極めて平等にそれぞれの正月を祝いさせています。

 

まず万国共通の西暦の正月は祝日が元旦の一日だけ、当初年末に日本に戻らなかった時には何とも味気のない新年だと感じたものでした。

この国で働く大抵の日本人は 年末時期大挙して日本の家族の元もしくは故郷に戻ります。 日本人が要の日系企業ではその間会社がうまく回っているのか心配になりますが、戻ってみると結構真面目に皆が働いていたりして驚いたものです。

 

中国系の正月は日本の旧暦と呼ばれるもので 月の公転期間を基にした暦で正月を祝います。 

通常一ヶ月を29日もしくは30日で計算し年12ヶ月を一年と定めてありますが 19年間で6回のうるう月を設け太陽暦との誤差を調整している為か正月の季節感は狂わないようです。旧暦の正月が一月下旬から二月初旬の間を行ったり来たりするのはこの為です。30%の中国系民族ですがこの国では商売上手の中国人がしっかりと経済を支えていますから旧正月は我々外国人にとって少し厄介な時期でもあります。

 

インド系もデパバリの行事がニューイヤーと呼ばれやはり陰暦で計算され西暦の十月下旬から十一月初旬の間を行ったり来たりする正月を迎えます。単純労働に従事する層と医者や弁護士の様な少数でハイクラスな層に分かれたこの民族の正月は10%の人口比率からも国民生活に及ぼす影響力はそんなに大きくはありません。 

 

日本では仏教やキリスト教には馴染みが深くその行事や習慣について良く知られていますがイスラム教については余り知られておりません。

人口の60%を占めるマレー人の大部分がイスラム教徒であるこの民族の正月は陰暦を採用したカレンダーで正月を祝います。 ただ違うのは月の満ち欠けを正確に観測し、キッチリ50週350日もしくは日没時間の関係で351日を一年と計算し余分な調整をしない為、毎年正月がその前の年の約半月程早く訪れます。このイスラム正月が西暦の一月一日頃にほぼ重なった年は同じ年の年末にもう一度正月が来る計算に成ります。世界の人口の三分の一を占めると言われるイスラムの人々は 計算上24年間に25回正月を迎えることに成ります。私は1992年2月この国に日系企業の駐在員として赴任してきました。そして1992年より現在迄で14回の西暦の正月を迎えました。この年1992年4月にハリラヤ正月を迎え今2006年10月23日のハリラヤ正月を迎えたところですから 14年と9ヶ月の滞在中にイスラム正月を実に16回経験したことになります。カレンダー上2002年にイスラムの正月が2回ありましたので 何年に一度かは年5回の正月がありますとお話したわけです。


実のところインドのカレンダー上本当の正月は4月頃が正解なのです。

何故ヒンズー教のカレンダー上で六ヶ月後のお盆月の頃がニューイヤーなのか理由が良く判りません。 インドのニューイヤーとは仏教で言うお盆そのもので 正月よりお盆を重視している事からニューイヤーと称しているようです。 どうしてお盆が正月より重要視されるのかは定かではありませんが 死者を祭るのが宗教の原点と考えるなら納得出来そうです。

 

皆さんは何故日本の学校の新学期が4月上旬なのか判りますか?

何故4月1日でないのか不思議に思いませんか?。 学校制度がスタートした明治の時代 政府は新学期を一月と定めたのでは気候的にも寒すぎるし 正月と重なって何かとせわしないのでヒンズーのカレンダーからその年の元旦の日を採用したのが始まりのようです。 四月は目立った行事も無いし 春真っ盛りで学校がスタートするにはもってこいの季節ではありませんか。

 

もう一つ面白いことにイスラム正月は 盆と正月をミックスしたような祝い方をします。正月を迎える前の何週間前からタイマツの様な明かりを毎晩灯します。 聞いてみると亡くなった親族が家に戻るための明かりと言う事で正にお盆の行事そのものです。 そして元旦にはお寺(モスク)でお祈りをした後 家に戻りご馳走を食べその後お墓参りを済ませるという盆と正月の行事を一緒にします。文字どうり盆と正月が一緒に来ます。考えてみれば日本のお盆の行事もイスラムの人から見れば正月の様なものかもしれませんね。

 

 

追記:もし機会があればまだまだ面白い話題がありますから 読者の皆さんにご披露できるかもしれません どうぞお楽しみに...。

 

石田 勝  マレーシア住在

メールアドレス:masaru.ishida@konsortium.net